戸田書店カレンダーに樸の句が掲載されています

2018ノートカレンダー

2018戸田書店オリジナルノートカレンダーに樸俳句会員の作品が掲載されています。 (戸田書店さんは静岡県静岡市に本店があり、全国に30店舗以上展開しています。ノートカレンダーは各店舗で無料で貰うことができます) (選・恩田侑布子) 1月 富士浮かせ草木虫魚初茜              恩田侑布子  2月 街路樹のまだ影薄き余寒かな              久保田利昭 3月 朝日入る一膳飯屋わかめ汁               佐藤宣雄 〃  割れ易き父の爪切る春の昼               森田 薫 4月 昼酒の蕎麦屋に長居柳の芽               伊藤重之 〃  妻と子は動物園へ春障子               西垣 譲 5月 仏間にも母の面影大牡丹               塚本敏正 〃  口笛を鋤きこむ父の夏畑              大井佐久矢 6月 風立ちて竹林にはか夏日影               松井誠司 7月 アリランの国まで架けよ虹の橋               杉山雅子 〃  パラソルを廻しつゝ約束の時              樋口千鶴子  8月 貝風鈴カウンセリング始まれり               山本正幸 9月 哲学を打ち消す夜半のすいつちよん              山田とも恵 10月 秋うらら窓に一列指人形               戸田聰子  11月 通されし仏間の脇のからすうり              藤田まゆみ 12月  ディラン問ふ 「How do you feel」(どんな気分)と枯野道                萩倉 誠 〃  鍋帽子かぶせて待つや大みそか               原木裕子

2018年から 日曜句会始めます

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2018年(平成30年)から日曜日の句会を新設します。 新入会員募集中です。平日お仕事や学業で忙しい若い方大歓迎! ♡♡ 樸(あらき)では、老若男女(30代~80代)の方々が、俳句を鑑賞し、句作を楽しんでいます。 句会の雰囲気は、なごやか、ほんわか、にこやか、のびやか、そして時に熱い! 楽しく自由な樸の仲間があなたをお待ちしています。♡♡ ☆ 日々の感動を五七五にのせて表現してみませんか。 ☆ 恩田侑布子にあなたの句を鑑賞してもらいませんか。 ☆ 恩田侑布子と一緒に名句を鑑賞しませんか。 樸(あらき)俳句会 日 時  毎月第1日曜日・第4水曜日      13:30~16:30 会 場  静岡市葵区東草深町3−6 アイセル21  ※ 月1回のみの参加も可能です。 ※連絡先は、メニューボタンから「句会の開催日時と場所」をクリックして、連絡窓口をご覧ください。

11月17日 句会報告

藁科川の上流、静岡市葵区坂本・清源寺大榧前で清澤神楽の話をお聞きして photo by 侑布子

11月2回目の句会が行われました。静岡市街は温暖な気候のせいか、ゆっくりと紅葉が進んでいるようです。 今回の兼題は「猪・鹿・柘榴」。人によっては食欲をそそる季語ですね。今回は色調豊かな入選句が4句出揃いました                〇秋夕焼文庫百冊売つて来し              山本正幸 合評では、 「サッパリした爽やかさと、淋しさが出ている。複雑な心理状況」 「百冊とは結構な量なので終活をイメージした。人生の過ぎゆく早さと秋の暮の早さを詠んでいるのでは」 「寺山修司の“売りにゆく柱時計がふいに鳴る横抱きにして枯野ゆくとき”の短歌を思い出した。百冊が効いている」 という意見の一方、「“秋夕焼”と“売って来し”が即きすぎではないか」という指摘も出ました。 恩田侑布子は 「百冊の文庫本に親しんだ思い出と未練が秋夕焼をさらに赤くする。スッキリしたようで切ない夕焼け。すこし墨色を帯びたさびしさ。はかなく色あせてゆく秋の夕日に、文庫本を一冊づつ買って読んだ長い歳月が反照される。青春性の火照りが残っていて、終活というよりも人生を更新したいという前向きさを感じる。古書との別れの季語として秋夕焼は動かないでしょう」 と講評しました。                  〇仁王門潜れば老いし柘榴の木              佐藤宣雄 合評では、 「自分の原風景に老いた柘榴の木があるので、柘榴にホッとする気持ちがよみがえった」 「景がよく、中七の調べがよい」 「ただの写生句で、スナップ写真のよう」 「老いた柘榴の木じゃなくても成立する」というように、意見が二手に分かれました。 恩田は、 「一瞬に景が立ち上がる重厚な句。朱塗りと赤、茶と緑の色彩も美しい。仁王門を見つめてきた柘榴の長い歳月が感じられます。「老いし」の措辞に、実はつけていても、木のやつれが浮かび、悟り済ませぬ人間の歳月が裏に重なるよう。二重構造の俳句といっていいでしょう」 と講評しました。 〇敬老席どんと座つて運動会              西垣 譲 「なんでもないけど、なるほどなと思うこういう句が好き」 「俳句じゃなくて川柳じゃないか」 「いや、これは川柳じゃなくて一流の句」 と、軽妙に意見が交わされました。 恩田は、 「連合町内会の運動会の敬老席はたいてい見晴らしのいい場所にある。“どんと”がのさばっている感じで滑稽。が、その裏に、もう花形の徒競走など、イキのいい競技に参加できない一抹の淋しさもあります。俳味ゆたかな句です」 と講評しました。               〇兄の如し月命日に台風来             樋口千鶴子 合評では、 「はじめに“兄の如し”と言い切った。スピード感があり、どんなお兄さんだったかイメージできる」 「追慕の心情が出ている」 と感想がでました。 恩田は、 「上五字余りの重量感のある切れが出色です。お兄さんの死に切れぬ情念が台風になって吹きすさぶように感じた。『嵐が丘』のヒースクリフを思い出します。巧まざる倒置法も効果的です。作者は上手い俳句を作ろうとしたわけではなく、亡き兄の気持ちを慰めたい一心なのだと思います。それが図らずもこういう表現をとった。そこに俳句の懐の広さがあります」 と講評しました。 [後記]  句会が始まる前、その日に鑑賞する句が並ぶプリントが配布されます。その冒頭にいつの頃からか、恩田侑布子の叱咤激励文が掲載されています。今回は「ただごと俳句や報告句からいかに抜け出すかに配慮し、感動のある一句を!」と書かれていました。毎回この一文を読むと、座禅中に背後から鋭く警策を食らうような痛みとともに、心地よい緊張感が身を貫きます。いかにダラリと座っていたか気づく瞬間です。次回の兼題は「霜・霜除け・落葉」です。(山田とも恵)