2021年7月4日 樸句会特選句
八橋にかかるしらなみ半夏生
前島裕子
八橋の架かるしずかな池畔に半夏生の群生が白波のようにそよいで涼しげ。「しらなみ」とひらがなにした表記のやさしさ。業平の東下りのむかしもそぞろに思わせます。すべては過ぎてゆくのだと思いつつ、そこにウエットな感傷はありません。ただ淡々と盛夏のまひるを涼しく眺めています。句姿うつくしく、造形力たしかな秀句です。
(選 ・鑑賞 恩田侑布子)
(選 ・鑑賞 恩田侑布子)