2022年8月24日 樸句会特選句
斎場へ友と白粉花の土手
島田 淳
斎場は市街からすこし離れた河畔にある。葬儀が執り行われるのは作者と「友」にとって、共通の友人だろう。それも幼馴染とわかる。二人語りながらゆく「土手」に、「白粉花」のあどけない赤が点々と咲いているから。肩を並べて夕暮れ迫る「土手」を歩いてゆくと、亡き友までがそばにやって来るよう。みんないっしょに幼きあの日に帰ってゆくようだ。待っている先が、友だちのお母さんのやさしい笑顔のある家ではなく、斎場であることが悲しい。しみじみとした俳句。
(選 ・鑑賞 恩田侑布子)
(選 ・鑑賞 恩田侑布子)