
photo by 侑布子
2022年12月21日 樸句会特選句
鑑真の翳む眼や冬の海
金森三夢
唐朝の高僧は、数度に及ぶ難破や弟子たちの離反など、死線をさまよう苦難を乗り超えて、本朝に仏教者のふみ行うべき戒律を伝えた。その労苦を思いやる気持ちが「翳む眼や」の措辞に結晶している。光を失ってゆく鑑真和上の眼の翳りの底に白い波濤をあげる冬の海が時空を超えていま、我々の胸にも迫ってくる。芭蕉の名句、「若葉して御目の雫拭はばや」が入れ子になっていて味わい深い。
(選 ・鑑賞 恩田侑布子)
(選 ・鑑賞 恩田侑布子)