2023年3月5日 樸句会特選句
春の鳥五体投地の背に肩に
芹沢雄太郎
インドやチベットでは聖地を巡礼するときに五体投地の祈りを捧げます。一読して鮮やかな色彩に画面が溢れることから、インドの大地を思います。黄土色の乾いた土に赤銅色の肌のインド人が原色の布を無造作に纏い、全身で大地にひれ伏します。その背にも肩先にも、おそれを知らない春の鳥が、大地となんら見境なく自由に降り立ち囀っています。人間の永遠なるものへの祈りの姿と、小鳥たちの邪気のないひかりが、そのままいのちの曼荼羅を成しています。
(選 ・鑑賞 恩田侑布子)
(選 ・鑑賞 恩田侑布子)