あらき歳時記 河鹿

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photo by 侑布子

 

2023年6月18日 樸句会特選句


 寝袋の中の寝返り河鹿鳴く

                  活洲みな子

 川の上流の渓谷にテントを張ったのか。あるいは、渓谷沿いにマイカーを停めて座席をフラットにし、夜泊するのか。いずれにしろ、シュラフに入ったものの、気分がどこか昂っていて寝付けない。辺りがふだんの生活とあまりにも違いすぎる。山奥の星の光は強く、闇の底に河鹿の声がときおり聞こえる。中七、シュラフの「中の寝返り」に実感がある。切れ切れに鳴く夜の河鹿に身体感覚が響き合ってリアルだ。
                        (選 ・鑑賞   恩田侑布子)

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