2023年11月12日 樸句会特選句
切り貼りは手鞠のかたち障子貼る
都築しづ子
障子は開け閉てする通り道でもあるだけに穴が開きやすい。作者はまだ丸ごと張り替えなくてもいい破れの些細な障子にパッチ補修を試みる。丸や四角や、紅葉を貼る家もあるが、「手毬のかたち」で詩になった。趣味のいい千代紙の鞠が、一つ二つ散れば、完璧な白障子よりも愛らしくなつかしいだろう。暮らしも楽しくなる。「切り貼り」と、「障子貼る」のリフレインが弾んで、甲斐甲斐しい障子貼りの一日があざやかに浮かぶ。 (選 ・鑑賞 恩田侑布子)