2023年12月23日 樸句会特選句
警笛に長き尾ひれや熊渡る
小松浩
警笛の音を魚類のような「長き尾ひれ」と捉えた感性が抜群。にわかに北国の冷たい空気が迫ってくる。しかも句末の「熊渡る」と響いて、人間界を尻目に、熊が悠々と北の大地を歩いてゆく姿が髣髴とする。なんという夜の寒さか。熊が、アイヌの人たちにとって、神の使いであることも納得されるのである。 (選 ・鑑賞 恩田侑布子)