☆俳句の三宝(常にそばにおいて親しみましょう)
一、筆記用具 鉛筆、消ゴム(PCは編集段階で)。作句帖と愛誦句帖。吟行手帳(携帯用)
二、歳時記(自分の使いやすい1と2を一つずつ揃えましょう)
1. 机上用歳時記 季語の解説が丁寧で優れた例句が数多く載っているもの
*五季の分冊型 新年・春・夏・秋・冬。「俳句歳時記」(全五巻 平凡社)・「俳句歳時記」(角川文庫版全五冊)「新歳時記」(河出文庫版全五冊)図説俳句大歳時記(角川書店)
*一冊型「合本俳句歳時記 角川書店編」「カラー図説 日本大歳時記」(講談社)・
2. 携帯用歳時記 「ハンディ版入門歳時記」「新版季寄せ」(角川書店編)「ホトトギス新歳時記」(三省堂)
三、国語辞典 広辞苑。漢和辞典・古語辞典(電子辞書は携帯にも便利)に親しみ、正しい文字と言葉遣いを基本に、語彙を豊かにしていきましょう。
☆俳句の三本柱
一、定型(五七五)のリズムと韻律(韻文としての調べ・格調・安定感)に親しみましょう。
二、季語。日本人の美意識、文化習俗と共感の源。時間と空間の連想の凝縮されたもの。「万葉集」の寄物陳思の伝統。中国の『詩経』以来の「興」の伝統を引くものです。
三、切れと切字。切ることが俳意です。余白が生まれ、最短詩は深く大きくなります。名句ほど深い切れがあります。切れが読めると、俳句の鑑賞は楽しくなります。
・脇の柱(初心者は、ゆくゆくの楽しみにとっておきましょう)
字余りの句(秋風の聞えぬ土に埋めてやりぬ 夏目漱石)
自由律の句(鉄鉢の中へも霰 種田山頭火)
無季の句(階段のひとつが故郷ハーモニカ 長岡裕一郎)
☆実作の勧め。
案ずるより産むが易し。常識や理屈から心を伸び伸びと解放し、季物に託して、感情を五七五のリズムに乗せましょう。
一、よく見てものと心を通わせます。見るとは見られることです。存問は相聞に通じます。
二、感動の焦点を一つにしぼります。俳句という詩へ飛躍するため、理屈を消しましょう。
三、感情を抑制(露骨にしない)し、「もの」に即し、「もの」に託しましょう。
四、俳句は取り合わせが基本です。季語と即きすぎにならないように。
五、省略(余白)と、推敲(舌頭に千転せよ)。独りよがりにならないために大事です。
※子規の金言 『俳諧大要』(岩波文庫)巻頭近くの文。「第一 俳句の標準」
「一、俳句は文学の一部なり。 文学は美術の一部なり。故に美の標準は文学の標準なり。
文学の標準は俳句の標準なり。即ち絵画も彫刻も音楽も演劇も詩歌小説も皆同一の標準を以て論評し得べし」