11月2回目の句会が行われました。今回の兼題は「小春」「大根」。
今年は秋があっという間に過ぎ去り、冬を感じることが多くなりました。寝て起きれば葉っぱの色が変わるこの忙しい景色を、寒さに負けずじっくり楽しみたいものです。
さて、まずは今回の高得点句から。
情念衰へ小春の為体(ていたらく)
伊藤重之
「欲望渦巻く世界に嫌気がさし、穏やかに生活している。でもそんなんでいいのか!?と嘆く日もあるよね」
「“情念衰へ”なんて言いながら、決して達観してるわけでなく、現世に未練がありそうなところが良い」
「自嘲気味に言っているが、それを楽しんでもいる句だ」
という意見が出ました。
恩田侑布子からは「破調のように見せて、十七音になっているところが面白い。吐き捨てるような調べが内容と合っている。でも、情念は歳とともに衰えるものでしょうか?」と参加者に問いかけがありました。
「歳とともに衰えるものだ」と言う参加者が多いようでしたが、
「ある情念は鋭くなる」という意見もありました。
恩田は草間時彦の≪色欲もいまは大切柚子の花≫という句を挙げ、正反対の位置から同じ状況を詠んでいる、と続けました。
情念が衰えている人は俳句なんか作れないはずだ!とこっそり思う、情念まみれの筆者でありました。
さて、続いて話題句です。
にぎやかや大根形体品評会
久保田利昭
「楽しい句。お化けカボチャのように、変な格好をした大根のコンテストがあったんだろうか?」
「“大根”という季語が持つ、どこかおどけた面白さが出ている」
「調べ、歯切れがよく、内容と合っている」
というような意見が出ました。
恩田侑布子は「日常の何気ない会話から面白い言葉を発見することがあるので、アンテナを張っておくと自分では思いつかない句が生まれることがありますよ」と、作者の着眼点に拍手していました。
次回の兼題は「冬の月・綿虫・湯冷め」です。11月に東京に雪が積もったのは史上初だそうです。駆け足の速い今年の冬と並走するためにも、風邪などひいてられません!(山田とも恵)