「恩田侑布子」タグアーカイブ

恩田侑布子が岩波『図書』9月号に「けはいの文学-久保田万太郎の俳句)」を寄稿しました。

岩波『図書』9月号(93円+税)に「けはいの文学」久保田万太郎の俳句について、拙文を草しました。こんな時こそクボマンの心のうるおいをお楽しみいただけますよう!                       恩田侑布子 ☆ あわせて角川『俳句』6月号の「偏愛俳人館 久保田万太郎 《ミニマル・アート・ジャパン》」もお読みいただければ幸いです。

「偏愛俳人館第八回 橋閒石〈終焉のむつの花〉」(角川『俳句』9月号)に 励ましのお便りを戴きました。

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     「岳」事務局長の堤保徳さまから、恩田侑布子の『俳句』連載、「偏愛俳人館第八回 橋閒石〈終焉のむつの花〉」にホットな励ましのお便りを戴きました。 堤様は、当HP「注目の句集」『姥百合の実』〈月光や男盛りのごと冬木〉の作者です。(堤様のページはこちらです) 堤保徳様、三つの観点からのご感想、今後の連載への何よりの励ましであり、心の滋養です。ありがとうございます。 恩田侑布子      『俳句』9月号の<偏愛俳人館「橋閒石」>を読ませて頂き、久々に快哉、驚愕、元気に包まれました。 私は和田悟朗ファン、橋閒石ファンです。 ・快哉=一般的の評論は、敬意を表する人には敬意を表し放し、褒め殺しで不自然極まりない。しかし、侑布子さんの筆は敬意は勿論ながら、メリハリある是々非々が、根拠と共に示されていて、鮮やか且つ新鮮。 ・驚愕=橋閒石にして、平凡な時代があったと知ったこと。初老期にして充実が始まったと知ったこと。 ・元気=「ゴールが見えてきたところで、ひとりの老人がそれまでの冴えない足取りを翻し」という閒石への描写の的確さと切れの良さ。 侑布子さんの文章からエネルギーをいっぱい貰いました。これから一層元気に俳句を作って行く元気が出てきました! ありがとう、侑布子さん。 堤 保徳    

角川『俳句』7月号「偏愛俳人館」第6回は「宙吊りの玻璃―未曽有の戦記文学」です。林田紀音夫のコスモポリタンの抒情とヒューマニティいいですよ!

角川『俳句』7月号「偏愛俳人館」第6回は「宙吊りの玻璃―未曽有の戦記文学」です。 林田紀音夫のコスモポリタンの抒情とヒューマニティいいですよ!

「神橋」 12句 恩田侑布子

20200607 神橋

        ↑ クリックすると拡大します        『俳句』2020年新年号 恩田侑布子「神橋」 ──鑑賞 樸連衆     青空のいつも直面(ひためん)年用意  外へ出れば、透徹した冬青空が広がっている。直面(ひためん)とは仮面をつけず素顔をさらすことです。能の世界では大きな意味があるようです。青空はいつだって「ひためん」。まっさらな気持ちであらたまの年を迎えたい。この心持こそ本当の「年用意」なのですね。──山本正幸 いつも顔を隠さず、「直面」でいる青空。作者は自らもそうありたいと願いながら、新たな年を迎える準備をてきぱきとこなし、来し方を振り返ってもいる。上五、中七の巧みさを確と受け止める季語の気持ちの佳さ。──田村千春    そそり立つ北斎の波去年今年  本来流動的な「波」が、一瞬を切り取ることによって永遠性を獲得し、「そそり立つ」大いなるものに感じられます。北斎の『神奈川沖浪裏』の迫力と「去年今年」の響き合いが見事です。──古田秀    初凪に鯤(こん)の一搏(ひとうち)あれよかし  年の始めはせめてここから歩き出したいもの。──安国楠也     身体髪膚鏡に嵌まる淑気かな  「しんたいはっぷ…」と舌頭に転がすと、すべての音が光を放っているのがわかります。「化粧」「ととのえること」が意味合いとしてある「初鏡」と異なり、これは、父母から与えられたそのままの姿と向き合う「鏡」。真っ向勝負で、こよなく清々しい。──田村千春         千萬(ちよろづ)の神の橋なり柳箸  さまざまな意味の「はし」が大和言葉の「はし」に掛合わされている。柳箸の先に神々の気配を感じて戴く食事は生命への寿ぎに満ちているのだと思います。──山田とも恵      よく枯れてかがやく空となりにけり   冷気に澄むブルー、冬空の崇高さが十七音で表現され、交響曲を聴くかのような荘厳な句です。よく枯れて、余分なものが削ぎ取られたからこそ美の極みへと達する。そういう讃え方があったのですね。新鮮に感じました。──田村千春木立が枯れていくのは空を輝かせるためだったのか!という新鮮な驚きを与えられました。──芹沢雄太郎    弓始大和島根を撓はせて   「大和島根」?辞書によると日本国の別称とある。なるほど弓はなんとなく日本の形に似ている。しかし、日本国をしなはせるとはなんて大胆な。的に当たる音が聞こえてきそう。 ──前島裕子弓を引く力強さと静寂。「我に支点を与えよ。さらば地球を動かさむ。」というアルキメデスの故事さながら、新年に相応しい雄大な気概を表している。「撓はせて」の措辞は折れることのない復元力を表して、困難な時代の年明けに相応しい。 ──島田淳日本全体がぎーっと撓るかのような厳粛な一瞬を捉えた独自な発想。日本を表す言葉はいくつもあれど、ここは「大和島根」でなくてはならないという、言葉に対する揺るぎない選択眼。──天野智美    思ひ羽の煌と着水峡の冬  鴨だろうか鴛鴦だろうか、長旅の末めざす水面に着水した。その時のきらりとした剣羽。目指したのは峡の一点か、つがいの相手か。「煌と着水」にその思いがみごとに表れている。 ──村松なつを    筋目まだ通して冬田谷の中   下五の「谷の中」で情景が大きく広がっていきながら、身に寒さが染み込んでくるという、外と内へ向かうベクトルが共存している不思議な感覚を受けました。──芹沢雄太郎    粥占の松風を聴くばかりなり   粥占の執り行われている神社の厳粛な空気が、「聴くばかりなり」と静かに余白を残して広がってくる。言葉を詰め込めばいいわけではないということに改めて気づかされた一句。 ──天野智美     ふくよかな尾が一つ欲し日向ぼこ    人間にはもう尾の痕跡しかないけれど、たとえ尾があっても何の役にも立たないけれど、こうして縁側で日向ぼこをしていると、時間も空間も、体も弛んできて、なんとなく尻尾の欲しい気分になるなぁ。一つでいいんだよ。ふくよかなやつがいいな。それで何をするでもないけれどね。目的や機能を持たないものって実は人間にとって本当に大事なのではないのかな?──山本正幸慎ましくもあり、しかしこれ以上何を望めようか。 ──安国楠也日向ぼこで・・欲しいのは羽ではなくて尾・・ほっこりします!──海野二美

角川『俳句』6月号「偏愛俳人館」第5回は「ミニマル・アート・ジャパン」です。久保田万太郎のいなしとやわらかみをご堪能ください。

角川『俳句』6月号「偏愛俳人館」第5回は「ミニマル・アート・ジャパン」です。久保田万太郎のいなしとやわらかみをご堪能ください。