鶏旦やガラスの天井破わるかゝと 恩田侑布子 新年詠として爽快な一句だ。 昭和の時代に仕事を始めた女性にとって、「ガラスの天井」という言葉は嫌というほど身近だ。平成、令和ときて、その言葉は未だ残っている。男女を問わず、人種、雇用、その他マイノリティと、将来に差別を感じている人のすそ野は広い。社会や組織のそんな圧力に臆することなく、自ら蹴破ってやるという気概。句末の「かゝと」にはっとする。 鶏旦やガラスの天井破わるかゝと 元朝のことを、また鶏旦ともいう。中国由来の季語であろうが、元日の朝に響く鶏鳴の清々しさをも感じさせる。句を声に出してみると「鶏旦」「ガラス」「かゝと」と、重ねられたK音G音が力強い。初日を一身に浴びながら、あとに続く人のためにも理不尽な「ガラスの天井」に風穴をいざ開けん、と踏ん張る姿が浮かぶ。 師に学んで六年目。俳人恩田侑布子は、やっぱり凛々しい。 活洲みな子(樸俳句会会員)