2月23日 句会報告

平成30年2月23日 樸句会報【第43号】

20180223 句会報用
                      photo by 侑布子

如月第2回の句会です。
投句の結果は、入選1句、△5句、シルシ6句。
兼題は「寒明」と「春炬燵」です。
入選は当季雑詠の句でした。

(◎ 特選 〇 入選 【原】原石 △ 入選とシルシの中間
ゝシルシ ・ シルシと無印の中間)

〇冬桜スマホにこぼす想ひかな
            萩倉 誠

この句を採ったのは恩田侑布子のみでした。
合評では、
「“こぼす想ひ”は技巧的だが、いかにも、という句」
「“冬桜”と“スマホ”の取り合わせはいい」
「最初は採った。“こぼす”は良かったけど、“想ひ”がチョット・・」
「高校生なら得意になってつくるような句」
といささか辛口批評も混じりました。
恩田侑布子は、
「斬新です。“こぼす”はいいと思う。“スマホ”という現代の流行アイテムを使った風俗俳句であるが、きわめてリリカル。スマホと冬桜の季語の取り合わせが秀逸。スマホの画面に指先で打つ一字一字がはらはらと花びらのように散っていく幻想。でも恋する人には読んでもらえないかもしれないという切ない心が感じられる。冬桜に実らぬ恋を象徴させた」
と講評し、「もし推敲するならば」と次のように添削しました。

 冬桜スマホに想ひこぼしけり

「“想ひかな”だと片思いの気持ちに陶酔したままだが、こうすることによって淋しさが嫌味でなくなるのでは」
と問いかけました。

   
投句の講評の中で、今回の兼題について例句の紹介と鑑賞が恩田侑布子からありました。

 川波の手がひらひらと寒明くる
             飯田蛇笏

 寒明けの日の光りつゝ水溜り
           久保田万太郎

 春炬燵あかりをつけてもらひけり
           久保田万太郎

 ぜいたくは今夜かぎりの春炬燵
           久保田万太郎

[後記]
今回の句会で恩田侑布子が強調したのは、「ストーリー(あらすじ)を作ってはダメ」ということでした。物語的になってしまうと「余白」は生まれないとのことです。恩田の評論集『余白の祭』を再読したいと思います。
また、蛇笏の漢文脈と万太郎の和文脈を対比させての解説もとても興味深く聴いた筆者です。
次回兼題は「踏青」と「蒲公英」です。(山本正幸)

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