慶祝!古田秀さん、第12回北斗賞準賞に輝く。

慶祝!古田秀さん、第12回北斗賞準賞に輝く。
 
樸の古田秀さんが、若手俳人の登竜門・北斗賞(文學の森主催)の銀メダルを獲得されました。入会後1年10ヶ月の快挙です。選考委員の稲畑廣太郎氏・佐怒賀正美氏・日下野由季氏、本当にありがとうございます。秀さんは現在樸の編集委員を務め、仕事が忙しい中でも句会参加を心がけておられます。当初から真摯な俳句への情熱と、独特の感性に頼もしいものを感得してまいりました。努力の結果に樸一同惜しみない祝福を捧げます。
古田秀に続く有為の若者よ、樸に来たれ!

(恩田侑布子)

古田1

photo by 侑布子

 

 

 古田秀 北斗賞準賞受賞作百五十句より 

   雨の函       (恩田侑布子抄出二十五句)


 照りかへす一円玉や夏燕
 
 おとうとはひかりに慣れず沙羅の花
 
 臍昏し桜桃の種うづめたき
 
 質問に答へぬ大人罌粟坊主
 
 マリーゴールド笑つてをれば殴られず
 
 煮びたしのやうに母をり釣忍
 
 まつろはぬ漁火ひとつ夏の月
 
 鬼灯の外側にゐて雨宿り
 
 明細に御花代あり鰯雲
 
 蟋蟀や正しく繋ぐガスボンベ
 
 擁きませう何も実らぬ月下の木
 
 洋梨の傷かぐはしきワンルーム
 
 マネキンの顔に穴なしそぞろ寒
 
 頓服の甘み水鳥みづを蹴る
 
 土曜日はおほかた待たされて嚏
 
 まだ指を知らぬ指輪よ花ひひらぎ
 
 国境のどちらにも雪フェンス雪
 
 ししむらを水の貫く淑気かな
 
 一駅を歩幅合はせて悴みぬ
 
 剃刀に寄せらるる泡彼岸過
 
 ゴンドラは雨の函なり山ざくら
 
 花の夜を一輌列車ひかり過ぐ
 
 藻の花や飛び石に人すれ違ふ
 
 ベニヤ板一枚が橋水芭蕉
 
 水の湧くちからに跣押されけり

 

古田4

photo by 侑布子

 

「慶祝!古田秀さん、第12回北斗賞準賞に輝く。」への1件のフィードバック

  1.  古田秀さん、北斗賞準賞おめでとうございます。毎回の句会で秀さんの作句と選句の感性に畏敬の念を覚え、選評や作者コメントをお聴きするのを楽しみにしています。
     とりわけ社会的政治的感性に新鮮さ、鋭さを感じます。私やその上の世代は「階級・搾取・抑圧」「侵略・帝国主義・民族解放」など外に「敵」を想定して政治を論ずる傾向がありました。親と子ほど世代の離れた秀さんは、内面的な感性で日常的な物・事に寄せ、かつ強さのない言葉で、社会と政治を静かに語っているように思えます。
      言はざるの見ひらくまなこ日雷(7月4日)
      彫るやうに名を秋霖の投票所(11月7日)など。
     恩田侑布子先生の指導を受け、樸会員として秀さんと座を共にしながら学ぶことは大きな喜びです。あらためて受賞おめでとうございます。

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