厳冬に、真夏の夜の夢を。    碧瞬 十六句 恩田侑布子

候補1

photo by 侑布子

 

 


       恩田侑布子 十六句  
                 

       碧 瞬


  金色こんじきのたまゆら深し夏の蝶
  
  手鏡のかはる代はるの涼しさよ
  
  とことはの初日ありけり夏休
 
  長江や夏あかつきに濁りつつ
 
  其処からは東湖したゝる夏柳
 
  星屑に吊られてありぬハンモック
  
  青嵐おのれを島とせよと釈迦
  
  汝が筆は青芒かと問はれけり
  
  嶽降りしらねあふひの風にかな
  
  黒き龍つがへる梁の涼しさよ
  
  出はいりは四足なりぬ蚊帳の口
  
  万年の山がぐるりと虫送り
  
  つくも髪花からすうり瞬けば
  
  碧玉の恋あり日本川蜻蛉
  
  夕ひぐらし翠巒に骨埋めなむ 
  
  口紅をさして迎火焚きにゆく
 

 

 
     ―「俳句四季」2021年9月号より転載―

候補6

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