2023年8月6日 樸句会特選句
竹生島
夏の月うさぎも湖上走りけり
中山湖望子
夏の満月から白い兎が飛び出す。青銀に静まる淡海のうみを、竹生島に向かってひた走る一匹の兎。「うさぎも」であるのがにくい。涼しい満月も風も、玉兎を追いかけ、湖水の上を滑りゆく。作者のこころもまた、神の島へ飛翔する。銀盤から生まれたうさぎのよろこびは、前書「竹生島」と相俟って、夏の夜のしじら波に神仙の気配をただよわせる。
(選 ・鑑賞 恩田侑布子)
(選 ・鑑賞 恩田侑布子)