あらき歳時記 虫の闇(二)

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photo by 侑布子

 

2023年9月10日 樸句会特選句


 惑星のなりの遊具や虫の闇
                    田中泥炭

 残業の帰り、小さな公園の横を通る。街灯に照らされて浮かび上がる遊具に人気ひとけはない。ふと宇宙空間に浮かぶ惑星を思う。リング付きの木星か、地球か。虫しぐれを背景に、上五の「惑星」は本来の“惑い”の姿となり、おぼつかなく大宇宙に彷徨い始める。こおろぎ、松蟲、鉦叩きの声は星屑さながら。子供たちが遊んでいた昼間の姿は一変し、人類の死臭が鼻をよぎるのである。
                        (選 ・鑑賞   恩田侑布子)

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