あらき歳時記 牡丹

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photo by 侑布子

 
 

2024年5月5日 樸句会特選句

 ぼうたんや達磨大師の上睨み
                 古田秀

 禅宗の開祖、菩提達磨といえば、一葉の蘆に乗ってインドから中国まで渡ってきた「蘆葉達磨」の画題が有名。日本では雪舟の「慧可断臂図」が国宝。でも、どちらも牡丹の花との取り合わせは見られない。それがこの句の新しみとなっている。「ぼうたんや」と上五で打ち出したことで、大輪の牡丹色が目一杯広がり、そこに一枚の糞掃衣をまとった墨絵の達磨がどっと現れる。しかも強烈な目玉でこちらを睨みかえしてくる。「上睨み」の措辞は鋭い。華やかな牡丹は中国の国花。大陸の風土性をもつ印象鮮やかで力のある俳句だ。
                    (選 ・鑑賞   恩田侑布子)

 

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