あらき歳時記 秋霖

20211107 特選句

photo by 侑布子

 

2021年11月7日 樸句会特選句

 


  彫るやうに名を秋霖の投票所  
                     古田秀

 
 一句の真ん中の「名を」に一呼吸の切れがあります。選挙の投票所で、小さな一票の用紙に候補者名を釘彫するように、思いを込めて楷書で書く作者像が目に浮かびます。民主主義を担う一市民の実直ゆえの切なさ。「秋霖の」に、行く手を案じる誠実さと、難題山積みの衰退国家が底暗く感じられます。
                        (選 ・鑑賞   恩田侑布子)

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